以前、このブログで加齢による眼の機能低下について書いた。眼がだめなら耳だ、ということで最近は耳からの楽しみを拡げている。勿論、合唱団員の端くれでもあり、音楽はクラシック、ジャズを中心に40年以上聴いているが、音楽の他に意外に面白いと思ったのはラジオの朗読だ。NHKらじる★らじるの聴き逃しサービスを利用している。少し前には、室生犀星の「ある少女の死まで」と「性に眼覚める頃」、武者小路実篤の「友情」を聴いた。いずれも一度読んでみたいと思っていた作品なので丁度良かった。現在は柳田国男の「柳田国男の故郷七十年」を聴いている。これがすこぶる面白い。柳田が82歳の時の回顧談の聞き書きで、家族や故郷の人達を始めとする明治期の民衆の生活や地方と都会の暮らしの違いなどが懐かしく語られる。朗読のテンポもゆったりしていて、柳田本人が語っているようだ。
朗読はラジオドラマと異なり一人の俳優が通して語る。会話部分も一人でこなす。臨場感のある会話になると、感情の移入が過剰に感じられる時がある。特に男性の俳優が若い女性の会話部分を読む場合、会話らしく語ろうとするため女性の声色を使う。これが聴く側の居心地を悪くする。また、結構長い作品が取り上げられており、一回15分では20回以上に及ぶものが多くなってしまう。期間が少し空くと、何回目まで聴いたか分からなくなってしまうこともある。このような難点があるものの、文豪の有名な小説がかなり取り上げられており、大いに楽しめる。
さて、語りと言えば落語である。このところ手元にある落語のCD全集をよく聴いている。先頃、柳家小三治師匠が亡くなられた。次の高座も予定されていたようで、まことに残念だ。これで、古今亭志ん生、柳家小さん(五代目)、古今亭志ん朝、桂枝雀と、私の好きな噺家はすべて鬼籍に入られた。小三治師匠は、滑稽話や少し癖のある江戸っ子の出てくる話が特に面白いが、私は「まくら」も好きだ。まくらは演目の前に、関係する話などを短く語るのが普通である。まくらをやらない場合もある。ところが、師匠はまくらだけで高座を終えることもあったらしい。師匠のまくらはそれぐらい聴き甲斐のあるまくらである。私の持っている師匠のCD全集にはまくらだけの構成で3枚入っている。特に面白いのは「駐車場物語」で、師匠が借りている駐車場にホームレスが住み着いて占拠してしまう話である。ホームレスのおじさんの綺麗好きで几帳面な日常生活、退去を言い出しにくい師匠の気弱さなどが面白く語られている。
では、そろそろ本題に・・・・・・・・ (ヨッシー)
2021年10月31日
2021年10月18日
2つのベートーヴェン
14日の木曜、待ちに待った団全体での練習がありました。曲は来年3月の演奏会で歌う、ベートーヴェン『荘厳ミサ曲(ミサ・ソレムニス)』です。練習休止期間があり、再開してもパート練習が中心だったので、全体での練習はおよそ半年振り。他のパートが聞こえる練習はやはり楽しいです。
きちんと声を出しての自主練習は、隣と近接した自宅では難しく、歌う力が衰えていることを嫌でも感じますが、ここで自分を甘やかしては練習になりません。課題ばかりが目につくけれど、とにかく歌えることが今は嬉しく、一つずつクリアしていきたいと思います。
さて、その翌日の金曜日は、名フィル第九の練習がありました。私も愛知県合唱連盟の一員として毎年出演してきたのですが、昨年はコロナの影響でプロの少人数合唱に変更され、残念ながら練習も出演機会もありませんでした。第九が歌えない秋冬がどれだけ味気なかったか…。今年は職場の事情もあり9月から始まっていた練習も休みがちでしたが、ようやく参加できるようになりました。今年こそは私たちに歌わせてもらえますようにと祈っています。
ミサ・ソレムニスと第九、どちらもベートーヴェンの晩年の傑作です。当時の社会情勢は厳しく、ベートーヴェンは捕らえられるかもしれない状況で作曲、初演したと聞きました。この2曲は、私をとても奮い立たせてくれます。
私の人生で、歌いたいのに歌うことが許されなかったのは、このコロナ禍が初めてです。一時期、致し方ないこととはいえ、合唱が目の敵にされたのは非常に悔しかったです。それを乗り越えて歌えるのがこの2曲であるというところに、運命のようなものさえ感じます。第九本番まで2ヶ月、ミサ・ソレムニスまでは5ヶ月。もっとも大事なのは、自分でベートーヴェンの思いを歌いきってみせる、という熱意だと思います。感染対策に細心の注意を払いながら、精一杯歌いたいと思っています。(A)
きちんと声を出しての自主練習は、隣と近接した自宅では難しく、歌う力が衰えていることを嫌でも感じますが、ここで自分を甘やかしては練習になりません。課題ばかりが目につくけれど、とにかく歌えることが今は嬉しく、一つずつクリアしていきたいと思います。
さて、その翌日の金曜日は、名フィル第九の練習がありました。私も愛知県合唱連盟の一員として毎年出演してきたのですが、昨年はコロナの影響でプロの少人数合唱に変更され、残念ながら練習も出演機会もありませんでした。第九が歌えない秋冬がどれだけ味気なかったか…。今年は職場の事情もあり9月から始まっていた練習も休みがちでしたが、ようやく参加できるようになりました。今年こそは私たちに歌わせてもらえますようにと祈っています。
ミサ・ソレムニスと第九、どちらもベートーヴェンの晩年の傑作です。当時の社会情勢は厳しく、ベートーヴェンは捕らえられるかもしれない状況で作曲、初演したと聞きました。この2曲は、私をとても奮い立たせてくれます。
私の人生で、歌いたいのに歌うことが許されなかったのは、このコロナ禍が初めてです。一時期、致し方ないこととはいえ、合唱が目の敵にされたのは非常に悔しかったです。それを乗り越えて歌えるのがこの2曲であるというところに、運命のようなものさえ感じます。第九本番まで2ヶ月、ミサ・ソレムニスまでは5ヶ月。もっとも大事なのは、自分でベートーヴェンの思いを歌いきってみせる、という熱意だと思います。感染対策に細心の注意を払いながら、精一杯歌いたいと思っています。(A)
2021年10月03日
波多野睦美さんの演奏会
先週末、宗次ホールで開催された、メゾソプラノ波多野睦美さんの演奏会に行ってきました。
波多野さんとは2017年にグリーン・エコー第59回演奏会の『平和への道程』でご一緒しました。その次の年、高橋悠治さん伴奏で『冬の旅』を歌われた時には、ファンになったアルトの団員たちと揃って出かけた記憶があります。
今回は高橋さんとバリトンサックスの栃尾克樹さんとのトリオで、バロックからピアソラまで多彩なレパートリーの一端をうかがい知ることができました。
確かグリーン・エコーの演奏会打ち上げ二次会で、歌謡曲を自然体で歌われた記憶(友人に確認したら『津軽海峡冬景色』)がありますが、今回もピアニスト高橋さん作曲『六番の御掟について』はそんな雰囲気を感じました。モーゼの十戒(姦淫してはならない)について懺悔する話で、まるで落語のような面白さです。ネットにトリオの楽譜が載っています。
会場でCD『ねむれない夜〜高橋悠治ソングブック〜』、そしてネットで『アルフォンシーナと海』を手に入れました。その中に、当日歌われたピアソラの『オブリヴィオン―忘却ー』と共に、武満徹『小さな空』、プーランク『愛の小径』も入っていました。伴奏はギターとリュートで、いつか波多野さんのように素敵に、そしてチャーミングに歌ってみたいと思う曲ばかりです。(U)
波多野さんとは2017年にグリーン・エコー第59回演奏会の『平和への道程』でご一緒しました。その次の年、高橋悠治さん伴奏で『冬の旅』を歌われた時には、ファンになったアルトの団員たちと揃って出かけた記憶があります。
今回は高橋さんとバリトンサックスの栃尾克樹さんとのトリオで、バロックからピアソラまで多彩なレパートリーの一端をうかがい知ることができました。
確かグリーン・エコーの演奏会打ち上げ二次会で、歌謡曲を自然体で歌われた記憶(友人に確認したら『津軽海峡冬景色』)がありますが、今回もピアニスト高橋さん作曲『六番の御掟について』はそんな雰囲気を感じました。モーゼの十戒(姦淫してはならない)について懺悔する話で、まるで落語のような面白さです。ネットにトリオの楽譜が載っています。
会場でCD『ねむれない夜〜高橋悠治ソングブック〜』、そしてネットで『アルフォンシーナと海』を手に入れました。その中に、当日歌われたピアソラの『オブリヴィオン―忘却ー』と共に、武満徹『小さな空』、プーランク『愛の小径』も入っていました。伴奏はギターとリュートで、いつか波多野さんのように素敵に、そしてチャーミングに歌ってみたいと思う曲ばかりです。(U)