知り合いから「バッハの全曲を納めたCD・DVDを貰い受けてほしい。」というメールが突然送られてきた。しかも無償が条件とのこと。自分はバッハを熱心に聴くものではないし無償では気が引ける、と婉曲にお断りした。しかし、先方はかなりの勢いでとにかく受け取ってほしいと、再度の依頼が来た。
経過を伺うと、知り合いも知人から譲り受けたという。元の持ち主が早世されて、その遺品を整理する中で、ご遺族から喜んでいただける人に譲りたいとして、知り合いが戴くことになった。真面目な知り合いは、2年間で全てのCD・DVD150枚以上を聴き終えて、ご遺族にも確認の上で、次の人に引継ぐということで私に白羽の矢が立ったわけだ。
バッハの曲は、多少フルートを吹くことからフルートソナタは全て持っているが、他はブランデンブルク協奏曲や無伴奏チェロ組曲など少数の有名な作品のCDしか持っていない。恥しながら合唱の入っている曲も数曲しか聴いたことがない。熱心なファンではないのだ。早世された元の持ち主のことや全曲聴き終えた知り合いのことを考えると、多少気が重くなってきた。
これからは当分の間バッハを聴くことになるが、あの白いかつらを被った厳めしい顔を想うと、居住いを正して聴かねばならぬような気がしてきた。このブログを書いていても、頭の中ではトッカータとフーガの重厚なオルガンの音が響いている。(ヨッシー)
2022年11月20日
2022年11月06日
名フィル第506回定期演奏会 マーラー『復活』
11月4、5日、グリーン・エコーは名古屋フィルハーモニー交響楽団第506回定期演奏会 マーラー交響曲第2番『復活』に出演させて頂きました。満点とは言えないですが、精一杯、歌いきることができ、この機会をくださった名フィル様と聴いてくださったお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。
コロナの影響で2年延期されていたプログラムで、この間の合唱活動の難しさはこのブログでも折りに触れお伝えしてきました。『復活』の合唱は、非常に繊細な冒頭部分から大音響のフィナーレへと、とても起伏が激しく、現在のグリーン・エコーだけでは表現しきれないと判断しました。そこで名古屋コール・ハーモニアの皆様へ共演をお願いし、快くお引き受けくださったのは本当にありがたく心強いことでした。
本番は、小泉和裕先生の指揮とオーケストラの演奏、そして素晴らしいソリストの歌声に魅了されているうちに、5楽章が到来。いろんな曲で、合唱団が歌う少し前に一斉に立ち上がるという場面がありますが、この曲のそのシーンは、最高にかっこいいものの一つではないかと個人的には思います。正面客席に陣取る私達が立ち上がる直前にライトアップされ、いやが上にもボルテージが上がります。
とはいうものの、自分自身は感じたことのない緊張感で立つ前から足が震え、立ち上がっても止まりません。小泉先生を見ても明るく光るライトを見ても、困り果てて南無阿弥陀仏と心のなかで唱えてもダメ。会場の気迫に飲まれてしまったかのようでした。しかし、管楽器の奏でるナイチンゲールの声が止み静寂が訪れ、深く吸ったその息でAufersteh'nとささやいた瞬間、震えがピタリと止まりました。歌うことで、ホール全体の空気と自分が一体になれたように思います。
そこからはあっという間。あの大人数のオケが必死で奏でる大音響に負けじと、合唱団全体、皆が120%の力で声を振り絞ったと思います。気づいたら、万雷の拍手。こんなに大変でも、もう終わってしまったのだと、ただただ思うほど、甘美な時間でした。
小泉先生が今季を限りに名フィルの音楽監督を退任されるということで、惜別の思いで聴きに来られたお客様も多かったことと思います。Twitterでも、良い演奏だったとの感想を目にして、何とか役目を果たせたかと、ホッとする思いです。私が一番嬉しかったのは、ひとの声はいいな、という旨の感想でした。もちろんソリストが素晴らしく、そのことについてが大半だと思いますが、合唱団員全員が、今、歌えるって嬉しいな、と心の底から感じているはずです。
まだコロナについて油断は禁物で、様々な事情で舞台に立てなかった仲間もおり、決して完全復活、ではないものの、今回このような演奏を経験できたことは、これからの合唱活動にとって大きな自信になると思います。心のこもった質の高い演奏をできるよう、また練習を積んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。(A)
コロナの影響で2年延期されていたプログラムで、この間の合唱活動の難しさはこのブログでも折りに触れお伝えしてきました。『復活』の合唱は、非常に繊細な冒頭部分から大音響のフィナーレへと、とても起伏が激しく、現在のグリーン・エコーだけでは表現しきれないと判断しました。そこで名古屋コール・ハーモニアの皆様へ共演をお願いし、快くお引き受けくださったのは本当にありがたく心強いことでした。
本番は、小泉和裕先生の指揮とオーケストラの演奏、そして素晴らしいソリストの歌声に魅了されているうちに、5楽章が到来。いろんな曲で、合唱団が歌う少し前に一斉に立ち上がるという場面がありますが、この曲のそのシーンは、最高にかっこいいものの一つではないかと個人的には思います。正面客席に陣取る私達が立ち上がる直前にライトアップされ、いやが上にもボルテージが上がります。
とはいうものの、自分自身は感じたことのない緊張感で立つ前から足が震え、立ち上がっても止まりません。小泉先生を見ても明るく光るライトを見ても、困り果てて南無阿弥陀仏と心のなかで唱えてもダメ。会場の気迫に飲まれてしまったかのようでした。しかし、管楽器の奏でるナイチンゲールの声が止み静寂が訪れ、深く吸ったその息でAufersteh'nとささやいた瞬間、震えがピタリと止まりました。歌うことで、ホール全体の空気と自分が一体になれたように思います。
そこからはあっという間。あの大人数のオケが必死で奏でる大音響に負けじと、合唱団全体、皆が120%の力で声を振り絞ったと思います。気づいたら、万雷の拍手。こんなに大変でも、もう終わってしまったのだと、ただただ思うほど、甘美な時間でした。
小泉先生が今季を限りに名フィルの音楽監督を退任されるということで、惜別の思いで聴きに来られたお客様も多かったことと思います。Twitterでも、良い演奏だったとの感想を目にして、何とか役目を果たせたかと、ホッとする思いです。私が一番嬉しかったのは、ひとの声はいいな、という旨の感想でした。もちろんソリストが素晴らしく、そのことについてが大半だと思いますが、合唱団員全員が、今、歌えるって嬉しいな、と心の底から感じているはずです。
まだコロナについて油断は禁物で、様々な事情で舞台に立てなかった仲間もおり、決して完全復活、ではないものの、今回このような演奏を経験できたことは、これからの合唱活動にとって大きな自信になると思います。心のこもった質の高い演奏をできるよう、また練習を積んでいきたいと思います。本当にありがとうございました。(A)