2023年04月30日

山小屋の住人

最近、岐阜県にあるワンルーム程度の山小屋に通うようになった。その集落の入口には古ぼけた別荘地の看板が申し訳なさそうに立っている。昔は夏になると大勢でバーベキューやカラオケをやったと言うが、今は鳥の声と川のせせらぎしか聞こえてこない。そんな集落でお付き合いが始まった爺さん達を紹介したい。
ある人は高い木を切り倒すことが大好きだ。20mを超えるヒノキに梯子をかけて登っていき、更に上の枝をまたいで登ってロープをかけてくる。それからチェーンソーで切り込みを入れていくのだが、狙った方向にピンポイントで倒せたときの快感がたまらないらしい。どうだと言わんばかりのどや顔を見せてくれる。でも素人さんだから、あらぬ方角に倒れることも多い。そんなときはロープを持たされた数人が必死になって引っ張る。
毎週末、山に通って大きな山小屋を5年かけて自作した人もいる。こちらも全くの素人さんだったが今ではプロ並みの業師だ。基礎柱の一本が傾いたある山小屋の持ち主から相談を受けたとき、この人はコンクリートの基礎から打ち直して、その上の柱は近くの森から切り倒してきて、重機も使わず一人であっという間に作り直してしまった。ありものを使ったから費用はいらないと涼しい顔で言う。
しいたけ作りに邁進している人もいる。椎や栗の木を休眠状態となる冬に切り倒して、適当な長さにカットしておき、春の初めに菌を埋め込む。こうして作った原木から春と秋にしいたけができるが、これが実に美味い。面白そうだねと何気なく話したらやってみろと言う。もごもごしているうちに、原木のなる木を切り倒してカットしてあるから取りに来いと言うので、取りにいったら、ひと瓶1,000円のしいたけ菌と作業道具を渡された。成り行きで始まったしいたけ原木作りもこの春で3回目をむかえた。
この人達には合言葉がある。やりたいことをやりたいときに、やりたいだけやる。なんと都合の良い哲学だろう。それから皆さんとても優しい。木こりさんも建築屋さんもしいたけ屋さんも、おせっかいがつくほど親切だ。今日もわらび、タラの芽、コシアブラなどの山菜を山ほど採ってきて食べろと言う。山小屋ライフにもだんだんはまってきたかもしれない。(はなパパ)
posted by blogstaff at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常風景
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